〜DEAR BOYS2日誌② by演出家〜


「DEAR BOYS」vs.EAST HONMOKU 大盛況で無事に閉幕しました。
ご来場頂いたお客様に心から御礼申し上げます。
有り難うございました。
昨年冬、20年以上も続く人気漫画をどう立体的にミュージカルとして作品に仕上げるのか私を含め、誰もが手探り状態の中で奮闘し初演の幕を開けました。
さまざまな成功と課題を残し閉幕した記念すべき第1弾。
そしてお客様の声や我々の試行錯誤の上、さらなる挑戦の中で出来上がった第二弾。
多くの喜びの声と前回を遙かに上回るお客様が会場に駆けつけてくれたと伺っております。
作品的にも初演の課題に挑み、初演で掴んだ手応えと更なる工夫によって、色んな面で大きく前進したように思います。
もちろん新たな課題と新たなアイデアが眼前に現れたことは間違いありません。
DBの舞台には、本当のボールを使った様々な難題が山積している。プレーヤーは集中力の強さと心身の強さが限りなく要求される。
普段私は、キャストを存分に動かしたアクションやダンスを含むステージを演出して来ていますが、DBの運動量は他にはマッスルミュージカルくらいしか無いのではと思うくらい動き続けます(笑)。
芝居に歌にダンスにバスケットフォーメーション。音楽ナンバーが10数曲ある中でフォーメーションの数は50以上。
その稽古場での彼らの眼差しと、こぼれ落ちる彼らの汗は宝です。
コールドスプレーと湿布の臭いが後を絶たない稽古場で、ひとつのパスを繋ぐため、ひとつのゴールを決めるため、そして外すため(笑)懸命に挑む若いメンバー達。
そのたったひとつの繋がりを成功させるために挑む彼らの気持ちは、自ずと若いメンバーの仲間意識の中に浸透し豊かな友情が本当に生まれ出すカンパニー。今、眼の前にある環境の中でどう生きるかがその人自身を大きく成長させる。他の作品では決して得られない本当のスポーツ競技の体感がこの作品の現場にはある。
それに関連することで、私は自分自身のカンパニーと共に、文化庁後援のホットジェネレーションという団体が行っている障害児と健常者の子供達が120~130名程出演するミュージカルのここでは振付師として9年ほど携わっている。
先日12日に、芸術劇場中ホールで上演が行われた。
子供の成長の早さはあらゆることにおいて驚異である。
また芸術の原点でもある、踊ること演じること歌うことを心から楽しむ、無垢に怖れることなく目の前のことに挑戦する姿が、堂々とそこには存在する。
その中で、今年の春に初めて出演した、障害を持ち、手が上がらない女の子が居る。その女の子が先日の公演にも100数十名の子供達と一緒に、後列の端で一生懸命に歌い踊っていた。そして、ほんの40度くらいかも知れないが手が上がるようになっていた。「踊りたいという気持ち」が彼女の手を動かしているということだった。
その女の子を見たとき、DBの若いメンバーを思いだした。
何かを与えられ、環境に愚痴を言い、人を安易に傷つける、そんな人たちも多い昨今かも知れない。
そんな中で、DBのメンバーも手の上がらないキラキラとした障害を持つ女の子に負けない心の輝きがあったなあ〜と思えたことが凄く嬉しかった。
なぜならこの子供達の作品には、内容を超越した人間の偉大さが満載だから。
今を精一杯に生きるDBのメンバーは更にそれぞれの歩いていく舞台で大きく羽ばたいて好きな大空を飛べるようになるんだと楽しみにしている。
そしてまた出会えればとも思う。
私も10月スタソン作品がいよいよ始動し、年末来年の作品も動き始めている。
DBに携わる人たちと創り上げた感動の思い出を胸に、この夏もらった大切な気持ちの在り方を噛みしめて、未知なる世界に挑み続けたいと思う。
DB2を支えて下さった皆様、本当に有り難うございました
演出家 宇治川まさなり